ククサ作りもいよいよ中盤戦。
ここらで活躍してくれている道具をご紹介したいと思います。

左から
1.丸刀用中仕上げ砥石・・・デカい砥石を出すのが面倒な時は裏面で切出しを砥いじゃいます。
2.ボールピーンハンマー・・・家に代々伝わる鎚。僕で4代目です。たぶん明治とか大正製。
3.丸曲ノミ(丸すくいのみ)13mm・・・ヤフオクで手ごろな値段でGet。今のところ支障なし。
4.丸曲刀(丸すくい彫刻刀)15mm・・・ぶっちゃけ鑿があればいらないかも。
5.鍛造切出し刀(右利き)・・・amazonでお手軽価格でGetもちゃんと砥げるし良い仕事してます。
6.オルファ クラフトナイフL・・・未使用。切出し刀との比較用に掲載。

安定した作業台、使いなれた鎚、それと丸曲ノミがあればある程度の所まで彫り込めます。
写真では外周をすでに切り出した後になってますが、作業工程としてはブロックの段階でカップ部は仕上げてしまったほうが、事故は少ないのではないかと思います。(余計な負荷が掛かってフチが欠けるという心配が少ない)
ノミが一番荒っぽいですが仕事は早いです。
その次は切出し刀ですが、パープルハートは特に硬い木なので0.5mmくらいずつしか切削できません。
丸曲ノミを使ってカップ部を彫り込んでいきますが、直径がせまいとそれだけ角度がとれなくなり深度が稼げません。
そこで登場するのがスクレッパー(スクレイパー/スクレーパー)!

この工具は使うのが初めてです。
フックナイフ(フック船長の鉤爪のような形状のナイフ)を購入しようか悩んでいたところ、前出の@Tawamureyama氏からこの工具を紹介してもらい、使ってみることにしました。
ネットでも色々と調べましたが、バイオリンやピアノといった窪んだ曲面などを綺麗に削るための言わば「西洋カンナ」のようなモノのようです。
形状からするととても刃物類には見えませんが、これがなかなか良い仕事をします。
スクレッパーの角を素材に押し当て、手前に引いたり、押しこむようにしたりして削ります。

こんな感じの削り屑がとれます。
丸曲ノミでは彫り切れない深いところもスクレッパーなら掘ることができます。
スクレッパーといえば、塗料やシール剥しの別名「鉄の爪」しか知らなかったので、とても新鮮でした。
しかし、しっかり削るための「刃付け」という作業が少々面倒くさい。
でもおそらくキモな部分だと思うので、ご説明しておこうかと思います。

まず、購入したてのスクレッパープレートは、プレス機で抜いた状態できますので、(1)のように端面がざらざらになってます。
これを金ヤスリや砥石を使って、(2)のように平らにします。
ここできっちり出した「角」を鋼鉄の棒でしごいてつぶして、バリ(返し)を作ります。
これが(3)の状態。カンナでいう刃の部分になります。
(2)の角出しの作業があまいと綺麗な刃がつかないということですね。
その角だしで活躍したのが以前紹介した「ランスキーシャープナー」という砥石。
番手がいくつかありますので、端面を上から横からピシっと削っていきます。

加工前の端面がこちら。先の図の(1)
プレスした断面ですので、ちょっとザラザラしてますよね。

加工後の端面がこちら。先の図の(2)
砥石でしっかり仕上げると、端面が綺麗で角もちゃんと出ています。

最後はカーバイドバニッシャーという鋼鉄の棒で角を数回しごき、返しを付けていきます。
上手くいくと先の図の(3)のようになります。
指で触るとエッジ部分がたっているのが確認できます。
ちなみに、カーバイドバニッシャーは専用工具じゃなくても、ドライバーなどでも代用が利きそうです。

スクレッパーも削りが甘くなってきたら、もう一度刃付け作業を行います。
切出し刀もそうですが、切れない刃物は逆に危ないので、気が付いたら砥ぐようにしています。
そう考えると、オルファの替刃よりも、切出し刀を砥いだほうが結果的に安上がりだったりします。
ククサ作りを通じて、いままで使ったことも無い道具を知ることができたのは嬉しいですね。
余談ですが、もし加工工具などをお持ちでなければ、「
ククサは高いから作ったほうが安い」で取りかかるときっと後悔します。
道具を新たに集めるにしても、作業時間にしても、金額にしたら完成品を買ったほうが絶対安い。
でも、自分で作ったものはプライスレス!
Love Beer? (゚∀゚)/D
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